2018年7月14日

ローポジ撮影で割りを食った役者さん

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下からあおって撮る小津安二郎のローポジ撮影

小津安二郎の撮影技法は、良く知られているようにローポジ撮影のみで映画一本が完成してしまいます。
「さぁ、どこからでも撮ってください」と覚悟を決めている役者さんは意外と少ないんじゃないかなって思います。
皆、内心では、「ここはイヤ、あそこは困る」とか思いながら小津撮影に臨んでいたのではないでしょうか。

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私が「これはあんまりだ」と思ったのは、当時の二枚目俳優、佐野周二でしょうか(関口宏のお父さんです)。
有名な役どころでは「麦秋」で紀子の上司を演じています。
戦前に笠智衆と共演した「父ありき」の時から思っていたんですけれど、佐野周二の歯並びってメチャクチャ良くないんです。

それをローポジ撮影すると怪獣みたいに見えるんです。

いやー、二枚目なのにもったいないです。
念のため、麦秋と近い時期に木下恵介監督が原節子と共演で撮影したコメディ「お嬢さん乾杯!」では、とても頼もしくて男らしい好青年を演じていて、劇中のせりふではありませんが、惚れておりますの。って感じにさえなっちゃうんですけれど、小津作品に出ると怪獣にしか見えない希有な役者さんです。

どうして誰も歯並び直そうって言わなかったんだろう?

「歯並び直してみようよ」と言う話が佐野周二の周囲で出なかったのも不思議な話ですが、当時はそこまで手が回らなかった時代なのかも知れません。
それでもやっぱり当時の映画雑誌の表紙やグラビアでは歯の色に修正が入っています。
役者(男性)は演技ができてナンボと言う時代だったのかも知れませんが、だったら監督が配慮しようよ。
「宗方姉妹」では田中絹代の弛んで来た顎を不自然に見えないようにずいぶん腐心したそうですから。

こうなってくると人間の歯並びに小やかましい欧米の佐野周二評を聞いてみたいですね。
麦秋はそれほど大きな役ではなかったのでスルーされるかもですが、父ありきでは出ずっぱりですから、なにがしかのネガティブな意見が出そうですね。

けど、同じローポジ撮影でも笠智衆と佐野周二がロングショットで並んで釣りをしているシーンが絵的に私とても好きなんです。
小津は「繰り返し」を非常に好む監督で、このアングルは他にもたくさん見ることができますが、やっぱり二枚目スターの背中ってすてき。
後ろを向いちゃったら歯並びなんか問題ないですから。

佐野周二をご覧になる時は、必ず他の監督の作品とも見較べてください。
小津作品でだけ極端にブサイクですから。

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